病院看護医療情報Topicsまとめ(Health and Medical Information)

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地域連携専従の看護師・社会福祉士増員の理由になるかも?「退院支援に関する評価の充実」平成28年度診療報酬改定

2016年診療報酬改定の「個別改定項目について」(中央社会保険医療協議会:厚生労働省)から、 中小規模一般急性期病院で気になる点についてまとめてます。
今回は「退院支援に関する評価の充実」について考えてみたいと思います。

ひょっとしたら、この改定が理由で、地域連携専従で病棟専任となる看護師・社会福祉士を増員ということになるかもしれません。

【I-3-3(医療機能の分化・強化/地域包括ケアシステムの推進)-①】退院支援に関する評価の充実

第1 基本的な考え方

退院支援の更なる推進を図るため、保険医療機関における退院支援の積極的な取り組みや医療機関間の連携を推進するために評価を行う。

退院支援ですが、今回の改定で、いろいろしっかりやってるところは評価されるようです。逆に算定要件を満たせないところは、低くなってしまうようです。
内容をしっかり見極めて必要な対策をしたいですね。

第2 具体的な内容 

1.病棟への退院支援職員の配置を行う等積極的な退院支援を促進するため、現行の退院調整加算を基調としつつ実態を踏まえた評価を新設する。 

(新)  退院支援加算1
イ 一般病棟入院基本料等の場合 600点(退院時1回)
ロ 療養病棟入院基本料等の場合 1,200点(退院時1回)

今までの退院調整加算340点と比較して、大幅な上昇です。これは嬉しいはず。
ただし、いろいろ条件は必要なのですが。それは致し方ないところです。
では、内容を一つずつ見ていくことにしましょう。

[算定要件]

(1)患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように、入院早期より退院困難な要因を有する者を抽出し、適切な退院先に適切な時期に退院できるよう、退院支援計画を立案し、当該計画に基づき退院した場合に算定する。 対象患者は、現行の退院調整加算の対象者に加え、連携する保険医療機関からの転院であって、転院前の保険医療機関において当該加算を算定した者(1度の転院に限る。)。

現行の退院調整加算の対象者が対象です。さらに追加して、1度の転院に関しては、転院前の保健医療機関において、当該加算を算定した者も含まれるようになります。すでに退院調整加算を算定している施設であれば、対象者は増えることになりそうです。

(2)現行の退院調整加算における退院調整に加え、以下の支援を行っていること。
①当該保険医療機関の退院支援職員が、他の保険医療機関や介護サービス事業所等に出向くなどして担当者と面会し、転院・退院体制に関する情報の共有等を行う。
②各病棟に専任で配置された退院支援職員が、病棟で原則として入院後3日以内に新規入院患者の把握及び退院困難な要因を有している患者の抽出を行う。
③退院困難な要因を有する患者について、原則として入院後7日以内(療養病棟等については 14 日以内)に患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話し合いを行う。
④入院後7日以内に、病棟の看護師及び病棟に専任の退院支援職員並びに退院調整部門の看護師及び社会福祉士が共同してカンファレンスを行った上で退院調整に当たること。なお、カンファレンスに当たっては、必要に応じてその他の関係職種が参加すること。

現行の退院調整加算の要件に加えて、
①職員が他の医療機関や介護サービスの職員と直接面会しての情報の共有。
②病棟専任となった職員が患者入院後3日以内に状況を把握。
③7日以内に退院困難患者と家族とともに話し合いの実施。
④7日以内に指定の多職種で共同してカンファレンス
以上の要件が追加になります。

さらに施設基準も追加になります。

[施設基準]

現行の退院調整加算の施設基準に加え、以下の基準を満たしていること。

(1)退院支援・地域連携業務に専従する看護師又は社会福祉士が、当該加算の算定対象となっている各病棟に専任で配置されていること。ただし、退院支援業務について、最大2病棟まで併任することが可能。

専従の看護師又は社会福祉士が各病棟に専任で配置されていることが必要になります。
ただ、2病棟の併任が可能なので、実質、2病棟に1名の地域連携専従で病棟専任の社会福祉士か、看護師がいればよいということですね。

(2)20以上の保険医療機関又は介護サービス事業所等と転院・退院体制についてあらかじめ協議し、連携を図っていること。

20以上との連携が必要なのですね。そこそこ多いとも言えますし、十分到達可能な目標ともいえると思います。地域の中核的な施設であれば、連携施設はこのレベル以上にあるのではないでしょうか。
そして、要件的にこれらの施設すべてと、面接が必要ということですね。

(3)連携している保険医療機関又は介護サービス事業所等の職員と当該保険医療機関の退院支援・地域連携職員が、3回/年以上の頻度で面会し、転院・退院体制について情報の共有等を行っていること。

年に3回以上の頻度で情報共有となると、20施設×3回で、計60日は時間が必要ということです。年間の労働時間の約1/3は必要ということです。

(4)当該保険医療機関における介護支援連携指導料の算定回数が、当該加算の算定対象病床100床当たり年間15回以上(療養病棟等については 10回以上)であること。

こちらの条件は、介護支援連携を行っている施設であればもう既に問題ない数の算定があるのではないでしょうか?

(5)病棟の廊下等の見やすい場所に、患者及び家族から分かりやすいように、病棟に専任の退院支援職員及びその担当業務を掲示していること。

こちらについては、掲示だけなので、すぐに取り掛かれることでしょう。

以上の算定要件、施設基準があるのですが、これらは地域の中核的な病院であれば、担当職員を増やして対応することですぐに取り掛かれそうに思います。
現在すでに退院調整加算を取っている退院数が年に4,000件程度あるのであれば、1,000万円程度の増収の可能性があります。

 

一方で、現在の退院調整加算については、名称変更とともに、点数が下がってしまう可能性が高いです。

2.退院調整加算について、入院日数に応じた評価を廃止するとともに名称を改める。

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これは予想外のことです。
退院支援加算1を算定できないと、一般病棟入院基本料の14日以内の入院の場合で、340点から190点に下がってしまいます。
15日以上30日以内の場合であれば、150点から190点に上がるとも言えますが、平均退院日数のことも考えると、一般急性期の病院であれば退院日数が長い入院は考えられません。
つまり、今のままではダメだということですね。

 

また、新生児特定集中治療室をもっている病院に関しては、下記の追加もあります。

3.現行の新生児特定集中治療室退院調整加算を基調としつつ、新生児特 定集中治療室に入院した患者に対する退院支援に関する評価を新設する。
(新)  退院支援加算3 1,200点(退院時1回)

[算定要件]
(1)対象患者は、現行の新生児特定集中治療室退院調整加算1又は2の対象者及び転院前の保険医療機関において当該加算を算定した者(1度の転院に限る)。
(2)入院後7日以内に退院困難な要因を有している患者を抽出し、患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話し合いを行う。
(3)入院後1か月以内に退院支援計画の作成に着手し、文書で患者又は家族に説明を行い交付する。また、患者又は家族に退院後の療養上必要な事項について説明するとともに、退院・転院後の療養生活を担う保険医療機関等との連絡や調整、社会福祉サービスの導入に係る支援を行う。
(4)退院調整に当たって病棟及び退院調整部門の看護師並びに社会福祉士等の関係職種が共同してカンファレンスを行った上で計画を実施すること。

[施設基準]
現行の新生児特定集中治療室退院調整加算1及び2の施設基準と同じものとする。

今回の診療報酬改定、あちこちに、新生児や乳幼児や小児に関しての点数増加がちりばめられています。
小児医療に力を入れていきたいという、厚生労働省の思惑を感じます。

 

さらに、下記も追加になります。

4.現行の地域連携診療計画管理料等を基調としつつ地域連携診療計画を策定・共有した上で、医療機関間の連携を図っている場合についての評価を新設する。
退院支援加算 (新)  地域連携診療計画加算 300点(退院時1回)
診療情報提供料(Ⅰ) (新)  地域連携診療計画加算 50点

今回は、本当にいろいろ追加になります。
退院支援加算を算定している場合に、地域連携診療計画を行っている場合はさらに追加の加算が算定できます。
下記の算定要件と施設基準があります。

[算定要件]

地域連携診療計画加算(退院支援加算)

(1)対象患者は、あらかじめ地域連携診療計画が作成され、連携する保険医療機関又は介護サービス事業所等で共有されている疾患に罹患する者であって、転院後・退院後に、連携する保険医療機関又は介護サービス事業所等において引き続き治療等が行われる者及び転院前の保険医療機関において当該加算を算定した者(1度の転院に限る。)。
(2)連携する保険医療機関又は介護サービス事業所等とあらかじめ共有されている地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの診療計画を作成するとともに、患者に説明し、文書にて患者又は家族に提供する。
(3)転院後・退院後に、連携する保険医療機関又は介護サービス事業所等において引き続き治療等が行われる場合には、当該保険医療機関又は介護サービス事業所等に対して、当該患者に係る診療情報等を文書により提供する。
(4)転院前の保険医療機関において当該加算を算定した者については、退院時に、当該保険医療機関に対して当該患者に係る診療情報等を文書により提供する。

地域連携診療計画加算(診療情報提供料(I))

(1)対象患者は、あらかじめ地域連携診療計画が作成され、連携する保険医療機関において地域連携診療計画加算(退院支援加算)を算定して当該保険医療機関を退院した患者であって、入院中の患者以外の者。
(2)連携する保険医療機関とあらかじめ共有されている 地域連携診療計画に基づく療養を提供するとともに、患者の同意を得た上で、退院時の患者の状態や、在宅復帰後の患者の状況等について、退院の属する月又はその翌月までに地域連携診療計画加算(退院支援加算)を算定した連携する保険医療機関に文書により情報提供する。 

[施設基準]

地域連携診療計画加算(退院支援加算)
(1)退院支援加算1又は3の届出保険医療機関であること。
(2)あらかじめ疾患や患者の状態等に応じた地域連携診療計画が作成され、連携保険医療機関又は介護サービス事業所等と共有されていること。
(3)連携している保険医療機関又は介護サービス事業所等と3回/年以上の頻度で面会し、診療情報の共有、地域連携診療計画の評価と見直し等が適切に行われていること。 

地域連携診療計画加算(診療情報提供料(I))
(1)あらかじめ疾患や患者の状態等に応じた地域連携診療計画が作成され、連携する保険医療機関と共有されていること。
(2)連携している保険医療機関と3回/年以上の頻度で面会し、診療情報の共有、地域連携診療計画の評価と見直し等が適切に行われていること。

これらの算定要件や施設基準は、退院支援加算1を算定できるような施設で、施設間での退院の場合には、必ず行っていくでしょうから、特に問題ない条件でしょう。今回の改定にのって、変革をするしかないのではないでしょうか?

 

さらに下記もあります。

5.退院調整加算を発展的に見直したことに伴い、一部の算定回数が少ない項目については廃止することとする。

[廃止する項目]
(1)新生児特定集中治療室退院調整加算
(2)救急搬送患者地域連携紹介加算
(3)救急搬送患者地域連携受入加算
(4)地域連携認知症支援加算
(5)地域連携認知症集中治療加算
(6)地域連携診療計画管理料
(7)地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)
(8)地域連携診療計画退院時指導料(Ⅱ)

これらの算定をしている施設は、その減収度合いを考えておくことが必要でしょう。

 

以上をまとめると、つまりこれは非常に重要な改定なので、ぜひ早急に地域連携室と相談しましょう。
この改定に対応して、点数を増やしていくのか、はたまた今のままで立ち止まって、点数的に低くなるのか。
あなたの施設であればどちらを選びますか?
早急に検討が必要でしょう。

 

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引用・参考:中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省

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