病院看護医療情報Topicsまとめ(Health and Medical Information)

病院・看護・医療に関する話題の情報トピックスをまとめている備忘録です。旬の話題は診療報酬改定2018。掲載している情報は、必ずご自身で内容をご確認ください。記載が不正確であったことにより生じたいかなる損害に関しても、私は責任を負いかねます。

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱとは?DPCデータでの評価となってどう変わるの?:平成30年度診療報酬改定

今回は、平成30年度診療報酬改定の「個別改定項目について」から、重症度、医療・看護必要度の判定基準の見直しについて、診療実績データ(DPCデータ)を用いた方式で行う「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱ」について検討します。

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱとは?DPCデータの評価となってどう変わるの?:平成30年度診療報酬改定

今回の診療報酬改定の目玉の一つが、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の見直しかと思います。その変更点については既に「判定基準の変更でどう変化するのか「Ⅰ-3ー② 重症度、医療・看護必要度の判定基準の見直し」」の記事で述べたとおりですが、その中で新たに登場した「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱ」については、詳細には述べてありませんでしたので、こちらでまとめさせていただきます。既存のものとどう違うのかを、今回はみていくことにしましょう。

さて、既存の医療・看護必要度については、皆さんご存知のように、A項目、B項目、C項目からなっております。

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そのうちの、A、C項目についてはDPCデータのEFファイルから、B項目についてはHファイルからのデータにて、評価としようというのが、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱ」(以降は看護必要度Ⅱとします)となります。

B項目については、既存のものがそのまま反映されているのがHファイルですので、そちらについては変化がないと思ってもらって良いのですが、大きく変わる可能性があるのは、EFファイルからとなるA項目と、C項目です。

看護必要度Ⅱでは、A項目、C項目でそれぞれでマスタを作り、A項目では、そのマスタに該当するものがファイルで報告されるかどうかで判定するとされており、また、C項目については、そのマスタに該当する手術に関して、ファイルで報告された手術日からの日数をもとに判定することとなっております。そのマスタについては、初期の分析のものから改良を加えた最新(2018.2.7現在)のものが「入院医療(その11)で診療実績データを用いた判定の集計に用いたマスタ」として、「中央社会保険医療協議会 総会 (第389回) 議事次第 |厚生労働省」のページに、「総ー1参考2」エクセルファイルが公表されております。ダウンロード可能ですので、内容を確認されることをお勧めします。

見直し案2とされている改定案にて、DPCデータを用いた診療実績での分析と、既存の現行方式での分析とを比較した結果は下記のようになります。

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ご覧になっていただいたように、診療実績データを用いた評価では、各病院の看護必要度の該当患者割合は低い値となります。そのことが、今回の改定における、入院基本料の該当患者割合の基準が看護必要度ⅠとⅡとで違うことへとつながるのですが、国としていずれはデータ提出のみとしたいという思惑もあって、診療実績方式の方を低い値(25%)としたのかもしれないと、思われてなりません。なにしろ、下記のようにパーセンタイル値を用いた分析も行っているのですが、

診療実績データ(DPCデータ)方式

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既存方式

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それぞれ、診療実績データの方が50%タイル値が28.9%なのに対して、既存方式では50%タイル値は32.8%なのですから、該当患者割合の基準をそれぞれ、25%と30%としたのには、多少思惑が働いたような気になりますよね。

ところで、診療実績データ(DPCデータ)を用いた方式と、既存方式とで該当患者割合の差がどうして発生するのかですが、それを項目別にみると、主にA項目で差が大きいという結果となっております。

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そして、その差が発生する理由としては、「創傷処置」「呼吸ケア」「心電図モニターの管理」「シリンジポンプの管理」に対応する請求項目を、医療機関においてEFファイルに入力していない可能性があること、「点滴ライン同時3本以上の管理」「救急搬送後の入院」について、看護必要度の定義と請求における規定とがずれていること、薬剤については、処方日と実際に投与した日とがずれている可能性があること、「全身麻酔・脊椎麻酔の手術」については、現場の入力の際、他の手術項目とあわせて入力されている可能性があることがあげられました。そうなると、現場としては、その辺りをいかに気を付けて適正に入力していくかに気を配ることが必要でしょう。

さて、まずはマスタの内容を確認し、シミュレーションを行ってみてください。そして、入力状況が特に問題ないのであれば、診療実績データを用いた方式である「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱ」での届け出を行う方が、基準としては相対的に緩くなりますし、看護師の現場としても助かるのではないでしょうか。また、この看護必要度ⅠとⅡの変更届出は、6カ月に1回ペースでしか無理となる方向です。今月はこっち、来月はあっちと切り替えることができませんので、本当に今のうちにシミュレーションを行って確実にどうするかを決めておくことをお勧めします。

ちなみに当院の場合は、DPCデータを用いた集計では、必要度が大幅に低い値となりました。その主な原因は「心電図モニターの管理」でした。DPCなので、入力はされていないのですが、管理は行っているというものが、数多く存在していました。約半数がそうでしたので、これはもうなにか方策を国として考えてもらえなければ、データでの評価は厳しいと思っているところです。

 

目次:平成30年度診療報酬改定「個別改定項目について」中小規模病院向けまとめ2018 - 病院看護医療情報Topicsまとめ(Health and Medical Information)

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参考・引用:中央社会保険医療協議会 (中央社会保険医療協議会総会) |厚生労働省

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